デバイス選択・製作開始〜SoundKing PAシステム PA-500改
さて,改造するにも,色々やり方があります.
このアンプの基板をそのまま流用して,ステレオ仕様にするか.
あるいはアンプ部をそっくり入れ替えてしまうか.
実は前回の記事を書く以前から,とあるデバイスに注目していました.
そのデバイスは,TA2022.デジタルアンプ用ICで有名な,トライパス社の製品です.
いつかはこのICの音を聴いてみたいと,常々思っていました.

このICの特徴は,他のトライパス社のデジタルアンプ用ICが単電源で,+12〜24Vという比較的低い電圧で駆動するのに対して(全ての製品を調べ上げたわけではないですが),+-31Vという少々高めの電圧と,正負両電源,さらにバイアスに+5Vが必要という,多少の扱い辛さにあります.

以前,TA2020(単電源12V,出力4Ω時20W)という,TA2022の弟分(発売時期でいえば兄貴分)のICを使ったキットを作ったことがあります.
このキットは5,000円という低価格かつ,非常に簡単な部品のハンダづけだけで,結構クリアでハリのある音を出します.
このお手軽さとその音質は,良い方向でバランスが崩れています.
非常に低価格で割と良い音.
低価格=ひどい音という図式はもはや過去のものとなった感があります.
真空管アンプのような「味」や,ブランド志向を求めないのであれば,これで十分かもしれません.
このTA2020で,デジタルアンプの音に興味を持った私は,もう少し出力の大きいものを作ってみたい,と,常々考えるようになっていました.

そこへきて非常に都合の良いカモが,ネギをしょって現れました.
この,PAアンプです.
このアンプのトランス,センタータップ仕様で,電圧は実測33V.電流容量は不明ですが,150VA程度はありそうな(根拠なし),なかなか良さそうなトロイダルです.
おまけに20V程度の端子もあります.
見た瞬間,ピンと来ました.
「TA2022にピッタシだ!」
このトランスは是が非でも生かさねばなるまい!モノラルで鳴らしておくなんて,もったいないぞ!

ハラは決まりました.
TA2022を使って,4Ω100Wクラスのアンプに改造する!

しかし,実はこのIC,単体では売っているものの,キットというものが存在しない.
海外の通販にはあるのですが,日本では,皆無なんです.
何度ググっても同じでした.
キットがない=基板が無い.大変厳しい状況.

しかし,ふと思い出しました.
「確かヤフオクで,TA2022アンプの基板と部品セットを出品していた人がいたはずだ.」

※TA2022はSIPなのですが,出ているピンが互い違いにフォーミングされていて,
普通のユニバーサル基板では,大変組み込みづらい形状になっています.
ですから,既存の基板か,自分で専用基板を起こすかしないと,回路をくみ上げるのが大変困難なのです.
しかも,デジタルアンプはその性格上,高周波を扱います.
高周波の基板というのは,気をつけないと,電磁波バラ撒き機になってしまいます.
さらに,2層基板でないと,きちんと組むのは難しそう.
両面の穴がきちんと合うようにパターンを描き,
エッチングして穴を開けて,ビア打って,スルーホールにして……でけるかい,んなもん!
わたしのような素人には,本当に無理な話なのです.
静か〜に置いて使うアンプであれば,なんとか宙ブラで配線するという方法もありますが,おおよそ現実的ではない上に,ライブの度に持ち歩いて使うアンプですから,ショートは必至でしょう.
ですから,基板はなんとしても欲しいところだったのです.

閑話休題.

さて,そのヤフオクで出品されていた方なのですが,既に出品を終了されていました.
が,なんとかホームページ(http://homepage2.nifty.com/electrart/)を見つけ出し,
TA2022部品セットをハッケン!
(これは,いわゆるキットではありません.送られてくるのは部品と基板のみです.TA2022の仕様書と,この方のホームページとにらめっこしながら作っていくものです.ご注意下さい. ※注2006年8月19日現在では,TA2022部品セットの頒布は終了されているようです)
早速連絡を取り,部品と基板を分けて頂くことになりました.
しかも送料込み8,500円.安い!

数日が経ち,部品セットが送られて来ました.
この部品との初顔合わせ,いくつになってもワクワクします.
部品屋に赴いた際も,いつもワクワクします.
「これでなぁ〜に作ってやろうかなぁ〜」
なんて思案しながら部品選びするのは,本当に楽しいひと時です.
我ながら暗いなあ(笑)

さて,封をあけ,目に飛び込んで来たのは,すんげえちっちぇえチップ部品の大群!
「うおおーマジかーこれハンダづけすんのんかー!!!」
などと驚く事はありませんでした.
知ってましたから.ええ.件のホームページで.見ました.


Fig.1が,そのチップ部品です.手前の棒は,つまようじです.
最近,チップ部品をハンダづけする局面が多く,それが練習も兼ねていたので,それほど苦労はしなくて済みそうです.


Fig.2が,これらのチップ部品を取り付ける,基板です.
よく出来ています.さすが.


Fig.3が,取り付け後です.
まぁまぁ綺麗にハンダづけできました.

最初に基板を良く拭き,手のあぶらなどを落としてから,フラックスを適量塗りました.それが良かったのでしょう.
普段はそんなに注意深くやりません.
しかし,じぃ〜〜〜っとチップをはんだづけしていると,大変肩が凝ります.
チップを押さえるのに使用したピンセットも良くありません.
100円ショップのやつなので,グニャグニャです.
デザイン用の高価なのは一本持ってますが,あれはあまりハンダまみれにしたくない.
今度いいのを買おう.

教訓:良く使う工具は,ケチらずいいものを買おう!